父を歯科へ連れて行った日。そこは総合病院内にある歯科だったので、入院中の患者さんも受診に来ていた。
そのうちの一人が、陽だまりのような方だった。お日さまの当たる縁側のような、あたたかな雰囲気をまとった人。
柔らかな赤のカーディガンに、茶色の膝掛け。刺繍入りのスリッパは、この方のために身内の方が選ばれたのだろうか。気遣いと愛情をまとっているような、そんな印象を受けた。
耳が遠くなっているようで、受け答えもどこか鷹揚だった。
「なんだか、いいな。こんな年の重ね方をしたいな」
そう思ってから数年後、また同じような方に出会った。大切に着ているのが伝わる、柔らかな緑のカーディガン。ご自身のこだわりなのか、それとも奥様の愛情なのか——そんなぬくもりを感じた。
どちらも私の勝手な印象にすぎないけれど、
自分の服は、汚れてもいい楽な服が基本だし、子どもの服はつい使い捨てのように扱ってしまいがちで・・。
それでも「大切に着る」ということは、やはり素敵だと思う。
そしていずれは、自分一人でも陽だまりのようでいられて、周りにも穏やかさを分けられる大人であれたらいいな〜と思った。
雑で、つい周りが見えなくなってしまう私にはまだ遠い理想なのかもだけれど……。
まあ、将来はおいおい、ということで。


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